通信制高校から大学、そして社会へ。実体験から伝えたいこと

人間関係

「通信制だから」で人生は決まらない|場所じゃなくて、そこで何をするか

通信制に通っていて不安な人、「通信制は落ちこぼれ」と言われて悔しい思いをしている人に読んでほしい話です。

X(旧Twitter)を見ていると、今でも「通信制=逃げ」「通信制出身は終わり」といった投稿をよく目にします。

正直、見るたびに思います。それ、ほんまに現実見て言ってる?と。

私は全日制の高校から通信制のおおぞら高校に編入し、そこから一般入試で大学に進学しました。全日制も通信制も、両方経験した立場から言わせてください。

「通信制だから」で人生は決まりません。

数字で見る、通信制高校の今

まずは、思い込みではなく事実から見てみます。

30.5万人

2025年度の
通信制高校の生徒数

10人に1人

高校生のうち
通信制に通う割合

約2.6倍

10年で増えた
通信制からの大学進学者

高校生の数そのものは減っているのに、通信制だけは増え続けています。大学に進学する人も、この10年で大きく増えました。

POINT

通信制は、もう「一部の特別な人が行く場所」ではありません。それぞれの事情や目標に合わせて、自分で選ぶ時代になっています。

それでも世間のイメージは、まだ昔のまま止まっている。このズレが、今通信制に通っている子たちを必要以上に苦しめていると、私は感じています。

環境は一番大事。これは間違いない

先に言っておきます。私は「環境なんて関係ない、気合いでなんとかなる」と言いたいわけではありません。

環境は一番大事。
これは間違いない。

私自身、おおぞら高校という環境に救われました。周りには勉強に本気で取り組む人がいて、実際に次々と合格していく。勉強ができる子も多かったので、「なにくそ、負けるか」という気持ちで食らいつきました。時には教えてもらうこともありました。

あの環境がなかったら、勉強が大嫌いだった私が一般入試で合格することはなかったと思います。

「私自身、おおぞらという環境にいたからこそ、頭が悪かった自分でも一般受験で大学に進学できたと思っています。」

— 過去の記事「頭が悪かった私が、おおぞら高校で一般受験に合格するまで」より

中学時代の5教科は、良くて280点。全日制の頃は野球しかしてこなかった私です。そんな自分が変われたのは、意志が強かったからではありません。

研究でもわかっている「環境の力」

環境が人を変えるというのは、私の感覚だけの話ではありません。

RESEARCH 01

差をつくるのは、意志力より「状況」

南カリフォルニア大学の心理学者ウェンディ・ウッドは、著書『やり抜く自分に変わる 超習慣力』で、目標を達成できる人とあきらめる人の差は意志力ではないと述べています。習慣をつくるのは「状況」「繰り返し」「報酬」だというのです。

私の場合:自習室がある、週3回の勉強会がある。その「状況」に身を置き続けたことで、勉強嫌いの私にも自然と勉強する習慣がついていきました。

苦手な人ほど、周りの影響を受ける

RESEARCH 02

苦手な人ほど、周りの影響を受ける

イギリスの若者を追跡したデータを分析した研究(ウーロンゴン大学・ランカスター大学)では、周りの生徒から受ける影響は、もともと成績が低い生徒ほど大きいことがわかりました。成績上位の生徒は、ほとんど影響を受けていませんでした。

私の場合:勉強が苦手な人ほど、どんな環境にいるかが大事。280点だった私が、勉強する仲間に囲まれて変われたのもうなずけます。

今いる場所がつらいあなたへ

今いる場所がどうしてもつらいなら、環境を変えることは逃げではありません。自分が伸びられる場所を選ぶのも、立派な戦い方です。

でも、同じ環境でも伸びるやつと伸びないやつがいる

ただ、ここからが本当に伝えたいことです。

同じおおぞら高校にいても、全員が同じように伸びたわけではありません。同じ教室、同じ先生、同じ自習室。それでも、結果を出す人もいれば、何も変わらないまま卒業していく人もいました。

これは通信制だけの話ではありません。全日制にいた頃も同じでした。恵まれた設備、強いチーム、名の通った学校。そんな環境にいても、伸びない人は伸びない。

どの環境でも
変わらんやつは変わらん。
どこにいても
結果を出すやつはいる。

この違いはどこから来るのか。私は、その環境をどう使うかだと思っています。

同じ環境でも、受け止め方で結果は逆になる

実は、環境の効果は良いことばかりではありません。

RESEARCH 03

「負のピア効果」

経済産業研究所(RIETI)で中室牧子氏らが埼玉県の学力調査データを分析した研究では、成績の良いクラスに1年間いた生徒の成績が、かえって下がる傾向が見られました。考えられる理由として、周りと比べて「自分はできない」と感じ、意欲が下がってしまう可能性が挙げられています。

私の場合:周りのできる子を見て「どうせ自分なんか」と思うか、「なにくそ、負けるか」と思うか。同じ環境でも、受け止め方ひとつで追い風にも向かい風にもなります。

「周りに有名大学へ進学予定の子がたくさんいたことは、すごく刺激的でした。」

— 過去の記事「頭が悪かった私が、おおぞら高校で一般受験に合格するまで」より

私はたまたま「刺激」として受け取れた。だから伸びました。良い環境に入ることと同じくらい、その環境をどう受け止めるかが大事なんです。

環境を「使える人」がしていること

周りを自分の力に変えている。できる人を見て「すごいな」で終わらず、「負けるか」「教えてもらおう」と行動に変えています。

目標がはっきりしている。私には「大学で野球を続けたい」「大手企業で働きたい」という夢がありました。目標があるから、環境の中で何をすべきかが見えてきます。

環境のせいにしない。うまくいかない理由を場所に求めるのではなく、今いる場所でできることを探しています。

「通信制だから」はもう言い訳にならない

通信制は、自由な時間が多い分、自分で決めて動く力が問われる場所です。逆に言えば、自分次第でいくらでも伸びられる場所でもあります。

私の周りにも、通信制から大学に進んだ人、目標に向かって本気で取り組んでいる人がたくさんいました。以前の記事でも、こう書きました。

「その上ではっきり言えるのは、通信制高校の生徒の方が、むしろ自立していたということです。」

— 過去の記事「通信制高校は人生終わりじゃない|むしろ将来性がある理由」より

「通信制だからダメ」なのではありません。どこにいても、何もしなければ何も変わらない。それだけのことです。

「自分の将来と真剣に向き合いたい人にとって、通信制高校は決して「終わり」の場所ではなく、「始まり」の場所だと思います。」

— 過去の記事「通信制高校は人生終わりじゃない|むしろ将来性がある理由」より

今、通信制に通っていて不安なあなたへ

周りの声に負けなくていい。「通信制だから」で人生は決まりません。大事なのは、場所じゃなくて、そこで何をするかです。

「通信制=ダメ」と決めつけている人へ

ここからは、通信制を見下している人に向けて、はっきり言わせてください。

通信制高校=悪い、と
決めつけないでくれ。

この世には、頑張っている人なんて死ぬほどいます。夢に向かって練習している人、難関大学を目指している人、自分の力で発信を始めている人。私が通信制で出会ったのは、そういう人たちでした。

通ったこともないのに語る。自分がうまくいかなかったからといって、学校のせいにする。それで本当に、現実を見ていると言えますか?

何かのせいにする前に

よく聞く言葉

学校が悪い。先生が悪い。
親が悪い。社会が悪い。

一概に、どれも悪くないとは言いません。私自身、いじめを見て見ぬふりをした大人たちのことは、今でも許せない気持ちがあります。理不尽は、確かにあります。

でも、それを理由に「だから自分は何もできない」と決めつけてしまったら、そこで本当に終わりです。さっきの研究のとおり、同じ環境にいても、伸びる人と伸びない人がいる。その差をつくっているのは、環境そのものではなく、その環境をどう受け止めて、どう動いたかです。

環境も大事。
でも、結局は自分次第。

人のせい、環境のせいにしすぎていないか。決めつけすぎていないか。一度、自分に問いかけてみてほしいんです。

言葉ではなく、結果で示す

正直に言うと、決めつけている人を言葉だけで変えるのは難しいです。言い返せば言い返すほど、相手は意地になります。

だから私は、結果で示した
  • ✓通信制から一般入試で大学へ
  • ✓もう一度野球部に入り、全日本大会を経験
  • ✓今は社会人として働いている

どんな反論より、これが一番の答えだと思っています。

そして、この記事を読んでいる通信制のあなたも、同じです。周りの声に言い返さなくていい。あなたがこれから出す結果が、いつか一番強い反論になります。

今いる場所で、最初の一歩を

環境を力に変えるために、まずはこれだけやってみてください。

  1. 目標をひとつ決める大きな夢じゃなくていい。目標があるだけで、今の環境で何をすべきかが見えてきます。
  2. 頑張っている人のそばに行く自習室、先生、同じ目標の仲間。頑張っている人の近くにいるだけで、自分も自然と頑張れます。
  3. 環境を変える選択肢も持っておくどうしても合わない場所なら、離れていい。学校も、居場所も、いくらでも選び直せます。

通信制に通うすべての人へ

場所じゃなくて、
そこで何をするか。

環境は大事。でも、その環境を生かすかどうかを決めるのは、最後は自分です。通信制でも、全日制でも、どこにいても関係ない。

周りが何と言おうと、あなたの人生はあなたが決められます。

参考:ウェンディ・ウッド『やり抜く自分に変わる 超習慣力』(ダイヤモンド社)、外山理沙子・伊藤寛武・田端紳・石川善樹・中室牧子「負のピア効果―クラスメイトの学力が高くなると生徒の学力は下がるのか?―」(RIETI)、Mendolia, Paloyo & Walker(Oxford Economic Papers)、文部科学省「学校基本調査」(令和7年度)、リクルート進学総研「高校の通信制課程 その現状と卒業生の進路変化」

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